漢方に「未病」という言葉があります。これは、放置しておくと将来病気になる可能性が高い状態のことで、古来中国に伝わる予防医学の原点でもあります。病気になってからではなく、病気になる手前の治療が重要と書かれています。健康のためには、未病の段階をとらえ、早めに何らかの対策で未病を改善することが大切です。
健康をおびやかすドロドロ血液:お血(おけつ)とは?
力ラダのすみずみまで酸素や栄養、病気に対する防御力を運んでくれる大切な役割を持つ血液。それだけに血液が流れにくくなると、さまざまな病気を引き起こす原因になってしまいます。このドロドロ血液状態を中国医学では「お血」と言います。 中高年だけではなく20代・30代でも、ストレスや食生活の乱れ、運動不足、喫煙、飲酒などが積み重なって、気付かないうちに進行していることがあります。
目の下にくまが出来たり、舌の裏の静脈が暗紫色に腫れたりしたら「お血」の危険信号。頭痛や肩こり、めまい、動停などのツライ症状があらわれることがあります。 「お血」のサインを見逃さずに、きちんと改善に努めましょう。
日本人の死亡原因の第l位はがん、第2位は心筋梗塞などの心疾患、第3位は脳梗塞などの脳血管疾患になります。血栓性疾患は心疾患と脳血管疾患のどちらにも含まれているため、実は日本人の死亡原因の多くを占めている病気になっています。お血のサインを見逃さず早い段階で対処することが大切です。
参考文献/厚生労働省「平成22年人口動態続計の年間推計」
血液を体のすみずみまで送り届ける:活血(かっけつ)とは?
さまざまな原因で引き起こった 「お血」を、イキイキとした血行で解消するのが「活血」(かっけつ)。そのためには、バランスの良い食事や散歩、ストレッチなどの適度な運動を生活に取り入れるのはもちろん、ストレスもできるだけ溜めないように。 緊張状態が続くときは、趣味やおしゃべりで気分転換をはかることも大切です。また、 カラダが冷えないよう冷房や薄着にも気をつけましょう。日々の意識が「活血力」につながります。
漢方の力で活血力をアップ!
活血は日々の生活改善が重要ですが、 漢方でも活血を高める効果のあるものがあります。その中でも、近年注日されているのが「丹参(タンジン)」。日本ではあまり知られていませんでしたが、中国では古くから使われてきた生業です。丹参自体に強い活血作用がありますが、「川きゅう(センキュウ)」「芍薬(シャクヤク)」「紅花(コウカ)」「木香(モッコウ)」「香附子(コウブシ)」などと組み合わせることによって、より効果的な活血を行います。